ケーススタディー
「Inspire the Next」というグローバルビジョンを掲げる日立製作所は、社会の課題に応えるイノベーションの提供を目指しています。
ケンブリッジコンサルタンツは、日立製作所が手がける、人々の生活様式を一新する将来のコネクテッド家電と、人間共生ロボットの利用シナリの姿を描き出す、ビジョン・デザインに研究参画しました。
未来の生活を描いたコンセプト
本プロジェクトは、日立製作所のイノベーション文化を変革し、より迅速で事業にフォーカスすることを可能にしました。また、各チームメンバーの信念を大切にすることにより、イノベーションに最適な人材へと変わっていきました。最初のプロジェクトは、日立製作所のグローバルソーシャルイノベーションセンター(CSI)で実施されました。
CSIは将来のテクノロジーに焦点を当てた500人のスタッフを擁し、世界各国に研究開発施設を有しています。また、この取組みは現在、世界中の日立製作所の研究開発センターに展開されています。
コネクテッド家電と人間共生ロボット
同質的で寡占状態に陥っている家電業界では、必然的にプレミアム価格帯への移行と競争が激化し、各社はどのように差別化し、企業競争に 打ち勝つかという難題に日々直面しています。日立製作所から当社へのご依頼は、当社と共に作ったコンセプトをどのように事業化・実用化できるかという具現的な道筋づくりでした。
当社では、コネクテッド家電と人間共生ロボットを通じ、日立製作所が競争優位に立つための画期的な新市場形成を念頭に置いた基礎戦略をサポートしました。日立製作所は社会課題を解決し、日本政府が提唱するSociety 5.0の先を目指しています。
未来の世界を予測する
この作業にはトレンド調査と2つの未来のビジョンに基づいた先進的なコンセプトを生み出す1週間にわたるワークショップが含まれていました。最初のビジョンは「人やモノが動き入れ替わる、持たないことの幸せ」です。そこでは、人々の間で商品やサービスを自由に交換することで所有するという概念から解放されます。2つ目のビジョンは「消せない不安から人々を守る社会」というもので、隣人に寄り添うことで不安を取り除きます。
それらの中から、私たちのビジョンを高めるのに役立つ6つの先進的なコンセプトが選ばれました。それぞれが高く評価され、日立製作所はコンセプトを製品試作品に発展させるための専任部門である『日立ビジョン・デザイン』を立ち上げました。
現状の限界を突破する
日立製作所のデザインチームは、既成概念に囚われることなく、自信を持って大胆にプロジェクトを進めました。
経営層はダボス世界経済フォーラムでプロジェクトの成果を共有し、またCEBITやCEATECなどの展示会でもプレゼンテーションを行い、お客様だけでなく日立製作所の社員にも刺激を与えることができました。
変革する社会
コネクテッド家電や人間との共生ロボットは、社会をより良いものに変える可能性を秘めており、コンセプト創造する際の主軸にもなります。認知症患者の家庭環境を想定した「Aging with Me」はその一例です。
コネクテッド家電とロボットが連携し、介護、医薬品の管理、会話機能の技術を通じて、モニタリング、微妙な変化の探知、心理面でのサポート、認知機能低下防止のサポートを提供します。
課題
ユニークで適切なスキル
当社は8週間に設定された納期で、本プロジェクトの詳細な課題に挑戦し、貴重な知見と高度な情報提供をもって応えることができたと自負しています。日立製作所は新たな人材を雇用する代わりに、既に実証された当社が誇るメソドロジーや技術、知見を導入しました。また当社が日立製作所のビジネスを非常によく理解していたからこそ、プロジェクトを着実に進めることができました。
世界有数の日立製作所研究開発部門チームと、高い専門性と多岐にわたる最新技術に知見を持ち、更に日本市場を熟知した当社スタッフとの協業により、このプロジェクトは高い成果を上げることができました。
緊密な協業
日立製作所と当社は、スピード感のある緊密な連携で課題に取組みました。また当社ならではの技術的な専門性知識と、プロジェクトの管理・促進スキルが 一体となることで、プロジェクトはスムーズに進み、実現しました。
当社は日頃から各国間の時差をうまく活用し、プロジェクトを推進しています。英国と日本のチームによる密接な連携が、プロジェクトの時間的制約の中で効率を最大化させ、マイルストーンも予定通りに進行させることができました。
多岐にわたる視野
プロジェクトが進むほど、当社の多岐にわたる専門領域での知見に基づく提言がより意味を増してきます。初期のトレンド調査は雇用形態の変化という視点から天然資源の不足、インフラの再構築、スマートシティ、ライフスタイルから3D印刷まで幅広いテーマをカバーしなくてはなりませんでした。この内容はワークショップに提供されました。具体的には日本での1週間のワークショップ、更に英国での分析と概念化に1週間、そして日本での2回目のワークショップです。
最後の数週間にわたる更なるコンセプト創造と改良は、6つの先進的なコンセプトを備えた 2つのビジョンの提示に成功しました。