ケーススタディー
オカドグループによって開発された『オカド・スマート・プラットフォーム(OSP)』は、世界中のオンラインスーパーに変革をもたらす、世界トップレベルのソリューションです。ケンブリッジコンサルタンツはOSP開発の戦略的技術パートナーとして、オカドグループの一員であるオカドテクノロジー社と協業し、OSPの中核を担い、高度自動化倉庫内全体のロボットを制御・調整する、独自の通信システムを開発しました。
自動化倉庫における世界初の通信システム
OSPは、オカドグループ独自のエンドツーエンドeコマース向けフルフィルメント・物流ソリューションで、食料品小売業社に経済的利益をもたらすと同時に、消費者に快適な買い物環境を提供します。当社はオカドテクノロジー社のエンジニアリングチームと協業し、OSPの中核をなす通信システムを開発しました。
免許不要で利用できる周波数帯を使って動作し、数千ものロボットと制御システムとの間で同時にかつ堅牢な通信を提供することで、1秒に10回、1日に4TBの高速かつ大量のデータを送受信できるようになりました。無線通信システム設計のブレークスルーと、世界で最も高度な通信ネットワークの構築により、オカドグループは業界内で他社とは一線を画す地位を確立したのです。
OSPは業界をリードするプラットフォームに進化をもたらし、オンライン小売業界における未来の変革へと繋がりました。OSPの成功には斬新かつ非常に堅牢な通信ソリューションの開発が不可欠であり、ケンブリッジコンサルタンツが開発した無線システムは、数千ものロボットをシームレスに制御することを可能にしました。
経済と効率性の変革
OSP通信システムは、オカドグループの高度自動化倉庫内で働くロボットを制御・調整します。ロボットは最大秒速4メートル、僅か5ミリ間隔で、巨大ストレージグリッドを駆け巡ります。
ボットは5分以内に平均50品目の注文をピックアップすることができるため、大規模なベルトコンベヤーを用いた従来型倉庫よりも18倍速く、信頼性が高く、経済性にも優れています。
グローバルな展開を見据えて
機械学習、ロボット工学、データサイエンスを通じて、オカドグループはオンラインスーパーの変革をリードし続けています。当社は現在、オカドテクノロジー社と協業し、世界中のパートナーのニーズに合わせた次世代OSPコミュニケーションシステムの開発に注力しています。
OSPの仕組みを取り入れる動きは、既に世界中の企業に広まっています。オカドグループは現在、北米、欧州、アジア、オーストラレーシアの大手食料品小売業者と契約を提携し、持続可能で収益性の高いオンライン事業拡大のサポートを行っています。
ケンブリッジコンサルタンツの参画
ケンブリッジコンサルタンツは、本ワイヤレス通信システムの開発において、オカドテクノロジー社の 一員としての役割を担い、次々に発生する課題の解決や規制当局への対応、実現可能性の検証やリスク軽減プロセスに従事しました。
プロジェクトを通じて、当社は主に設計検証作業を担当しました。製造パートナーの選択、堅牢な 生産環境への移行エコシステムの構築、移行期間中の24時間無休のサポートなどを提供しました。また、技術セミナー、トレーニング、知識を引き継ぐセッションも主導しました。
ケンブリッジコンサルタンツの世界クラスの技術的専門知識は、ボットのフリートを調整する通信システムを開発する鍵となっています。プロジェクト全体を通じて、エンジニアリングチームは臨機応変に対応し、信頼性も高く、非常にプロフェッショナルな姿勢を示してくれました。
課題
投資と成果の最適化
実績のあるシステムエンジニアリングプロセスと、数多くの複雑なプロジェクト経験を活かし、プロジェクトの初期段階から様々な課題を克服することで、世界初のパフォーマンスに必要な成果に到達し、投資を最適化することができました。
限られた開発スケジュール
限られた開発スケジュールは、失敗が許されないことを意味していました。当社の最先端製造施設で造られたカスタム無線ボードは、初回の試作で正しく機能し、ソフトウェア統合や機能実証の作業をプロジェクトの初期段階で可能としました。開発の複雑さを考えると、これは驚くべき成果です。実装に必要最低限な試作品は1年以内に完成し、強化されたシステムは、この数か月後に運用にこぎつけることができたのです。
ノイズの多い無線環境における協調通信
複雑な屋内無線環境は、高密度のエンドポイントを兼ね備えた堅牢な高速通信実現への更なる課題となりました。これに対処するには、新たなレベルのパフォーマンスと回復力を実現する必要があり、最高の標準ベーステクノロジーをカスタマイズしました。更に、強力なユーザーインターフェイスの開発や、多くのロボット、基地局、無線を現実的な設定で実証実験するための倉庫型試験施設を建設しました。
前例が無いが故のハードル
免許不要の周波数対を使用した前例が無いため、規制当局の承認を確保することは必須でした。英国のOfcom(Office of Communications/英国情報通信庁)や米国のFCC(Federal Communications Commission/連邦通信委員会)へ緊密に働きかけ、新しいプトプロトコールを作成しながら、この通信システムが法の精神と文言に従っていることを実証しました。
最終的に、当社のアプローチは規制当局によって補完され、それにより世界各国での更なる承認へと繋がりました。